測量士・測量士補 過去問ドリル

📍 基準点測量測量士試験 午前 ― 分野別ガイド

出題数が最も多い分野のひとつで、トータルステーション(TS)とGNSS の 2 本立てです。TS は角度と距離を測って計算で座標を出すのに対し、GNSS は座標を直接決めます。この性質の違いが分かっていれば、多くの選択肢はその場で判断できます。

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TS と GNSS は測り方が根本的に違う

まずここを押さえてください。TS は既知点に据え、基準となる方向からの角度と距離を測り、そこから計算で座標を出します(放射法)。見通し(視通)が必要です。

いっぽう GNSS は衛星からの電波でその点自身の三次元座標を直接求めます。角度を測る機能も、基準方向を視準する機能もありません。視通が不要なのが最大の利点です。

GNSS の選択肢に「基準方向」「交角」「視通」といった語が出てきたら、それは TS の測り方が紛れ込んだ誤り、と判断できます。

TS による距離測定

気象条件の影響

光波の速さは大気の状態で変わるため、気象補正が必要です。向きを取り違えないよう、次の一本の理屈でつなげてください。

気温が上がる/気圧が下がる → 空気が薄くなる → 屈折率が小さくなる → 光が速く進む → 距離は見かけ上「短く」出る

補正に使う気温・気圧は、TS を整置した観測点で、距離測定の開始直前または終了直後に測ります。離れた場所の値や時間の空いた値では、実際に光波が通った大気を代表しないため補正になりません。

誤差の分類

距離測定の誤差は、距離に比例するもの(大気の屈折率の影響など)と比例しないもの(反射鏡定数誤差、器械定数誤差、位相差測定誤差、致心誤差など)に分けられます。後者は定誤差とも呼ばれ、短距離ほど相対的な影響が大きくなります。

なお測距儀は経年で器械定数がずれるため、国土地理院に登録された比較基線場で定期的に検定を受けます。

偏心観測

障害物で直接視通できないとき、少しずらした偏心点から観測します。このとき偏心距離には制限があります。

偏心距離は測点間距離の 6 分の 1 以下を標準とする。「既知点間距離」や「5 分の 1」に差し替えた選択肢が定番です。

両端に偏心点を設ける相互偏心の計算では、観測値を AB 方向の成分とそれに直交する成分に分解し、最後に S = √(X² + Y²) で合成します。

観測値の点検

水平角は倍角差・観測差、鉛直角は高度定数の較差で点検します。標準偏差ではなく較差で見るのがポイントです。距離測定は 1 視準 2 読定を 1 セットとします。

点検路線の選び方

観測後の閉合計算に使う点検路線には、4 つの条件があります。

  • 既知点と既知点を結ぶ 片端が新点では比べる相手がなく、閉合差が出せない。
  • すべての既知点がどれかの路線に含まれる 取り残しがあると、その点の観測が未検証のまま残る。
  • すべての単位多角形が、いずれかの路線と重複する どの路線も通らない閉ループがあれば、そこは素通しになる。
  • できるだけ短く 長いと誤差が累積し、異常の有無を判別しにくくなる。

選択肢を絞るときは、この順に潰していきます。3 つ目のループの取りこぼしで落ちる選択肢が最も多いので、そこを丁寧に見てください。

GNSS の誤差消去の原理

GNSS が高精度を出せる中心的な仕組みが、位相差の階層的な差分です。

  • 一重位相差(2 受信機で同一衛星)… 衛星の時計誤差が消える
  • 二重位相差(一重位相差どうしの差)… さらに受信機の時計誤差も消える
  • 三重位相差(時刻方向の差分)… サイクルスリップの検出に使う

軌道情報は放送暦が標準

基線解析に使う軌道情報は放送暦を標準とします。精度は数 m 程度ですが、相対測位では基線の両端に同じ軌道誤差が共通に効くため、差をとる段階で大部分が相殺されます。精密暦は長基線や特に高い精度が必要な場合の選択肢であって、常に使わなければならないものではありません。

PCV 補正

アンテナの電気的な位相中心は、電波の到来方向によってわずかに移動します(PCV)。この癖は機種ごとに固有なので、同一機種どうしなら相殺されますが、異機種を混ぜると相殺されず、特に高さ方向に系統誤差として残ります。異機種を組み合わせる場合は原則として PCV 補正を行います。

衛星数の基準

条件必要な衛星数
スタティック法・基線 10 km 未満4 衛星以上
スタティック法・10 km 以上(GPS・準天頂のみ)5 衛星以上
スタティック法・10 km 以上(GLONASS 併用)6 衛星以上

GLONASS を併用すると要求数が 1 つ増えるのは、系が異なると時系の違いを解く分だけ未知数が増えるためです。「GPS 2 機+準天頂 2 機+GLONASS 1 機=5 機」で 10 km 以上、といった選択肢は基準を満たしません。

アンテナ高

アンテナ高は標識上面からアンテナ底面までを測ります。「位相中心まで」ではありません。

この分野の過去問 20問

  1. 令和8 第7問 公共測量におけるトータルステーションを用いた 1 級基準点測量において,図 7 に示すように,点 A,点 B 間の斜距離及び高低角の観測を行い,…
  2. 令和8 第8問 次の a ~ c の文は,公共測量におけるトータルステーションを用いた基準点測量について述べたものである。ア ~ エ に入る語句又は数値の組合せ…
  3. 令和8 第9問 次の a ~ e の文は,公共測量における GNSS 測量機を用いた基準点測量について述べたものである。明らかに間違っているものだけを全て含む組…
  4. 令和8 第10問 公共測量における GNSS 測量機を用いた基準点測量を行い,既知点 A から新点 B までの基準面上の距離 6,000.00 m,新点 B の楕…
  5. 令和7 第7問 次の a ~ c の文は,公共測量において実施するトータルステーションを用いた基準点測量に ついて述べたものである。 ア ~ ウ に入る語句の組…
  6. 令和7 第9問 次の 1 ~ 5 の文は,準天頂衛星などについて述べたものである。 明らかに間違っているもの はどれか。 次の 1 ~ 5 の中から選べ。…
  7. 令和7 第10問 次の 1 ~ 5 の文は,公共測量における GNSS 測量機を用いた基準点測量について述べたもの である。 明らかに間違っているものはどれか。 …
  8. 令和7 第11問 新点 A ~ E において,GNSS 測量機を用いた基準点測量を行い,新点 A から各新点までの距離 及びそれぞれの楕円体高を表 11 のとおり…
  9. 令和6 第7問 次の 1~5 の文は,公共測量におけるトータルステーション (以下「TS」 という。) を用いた 基準点測量について述べたものである。 明らかに…
  10. 令和6 第8問 公共測量において, トータルステーションを用いた結合多角方式により 1 級基準点測量を行っ た。図 8 は、平均図に点検路線を加筆したものである…
  11. 令和6 第9問 次の 1~5 の文は,公共測量における GNSS 測量機を用いた 1~4 級基準点測量について述べた ものである。 明らかに間違っているものはど…
  12. 令和6 第10問 公共測量において GNSS 測量機を用いた基準点測量を行い,電子基準点Aから新点Bまでの距離 12,000.00m,新点Bの楕円体高 497.5…
  13. 令和5 第7問 公共測量におけるトータルステーション(TS)による距離の測定について述べた文で、明らかに間違っているものはどれか。…
  14. 令和5 第8問 公共測量におけるトータルステーションを用いた 1 級基準点測量において、図 8 に示すように、標高 16.10 m の点 A と標高 94.70…
  15. 令和5 第9問 次の文は、公共測量におけるGNSS測量機を用いた基準点測量について述べたものである。明らかに間違っているものだけの組合せはどれか。…
  16. 令和5 第10問 公共測量におけるGNSS測量機を用いた基準点測量を既知点A及び新点Bにおいて行い、既知点Aから新点Bまでの基準面上の距離10,000.00m、新…
  17. 令和4 第7問 公共測量におけるトータルステーション(TS)を用いた基準点測量の精度管理について、明らかに間違っているものを選択せよ。…
  18. 令和4 第8問 基準点A,B間の距離を測定する際、障害物があったため偏心点A1,B1で観測を実施。与えられた観測値から基準点A,B間の基準面上の距離Sを求めよ。…
  19. 令和4 第9問 GNSS衛星及び公共測量におけるGNSS測量機を用いた基準点測量について、明らかに間違っているものはどれか。…
  20. 令和4 第10問 既知点Aおよび新点Bにおいて公共測量におけるGNSS測量による基準点測量を実施。既知点Aから新点Bまでの距離8,000.00m、新点Bの楕円体高…