測量士・測量士補 過去問ドリル

🌐 測量の基準測量士試験 午前 ― 分野別ガイド

この分野は「位置や高さを、何を基準にして表すのか」という一点に尽きます。回転楕円体とジオイドという 2 つの面が、それぞれ何のための基準なのかを取り違えなければ、選択肢の大半はその場で判断できます。座標変換や回転行列の計算もここに含まれます。

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この分野を解く(14問)

2 つの基準面を使い分ける

地球には形の異なる 2 つの基準面があり、用途がはっきり分かれています。

  • 回転楕円体 数式で表せるなめらかな面。水平位置・距離・面積の基準。
  • ジオイド 平均海面を陸地内部まで延長した面。重力の不均一で凹凸がある。高さ(標高)の基準。
距離と面積は楕円体面上の値、高さはジオイド基準。この 1 行を覚えていれば、「面積はジオイド上の値で表示する」「ジオイドは水平位置を求める基準面である」といった選択肢は即座に切れます。

位置の表し方も条文で決まっています。原則は地理学的経緯度+平均海面からの高さで、場合により直角座標・極座標・地心直交座標も使えます。ここで注意したいのが 2 つのひっかけです。ひとつは「地心緯度」で、これは地球の中心と地表を結んだ角度であり、測地緯度(地理学的経緯度)とは別物です。もうひとつは「楕円体高」で、高さの表示は平均海面基準であって楕円体高ではありません。

標高・楕円体高・ジオイド高の関係

GNSS が直接求めるのは楕円体高であって標高ではありません。三者は次の関係で結ばれます。

標高 = 楕円体高 − ジオイド高

この式は測量の基準の分野だけでなく、基準点測量・水準測量の計算問題でも繰り返し使います。ジオイド高は国土地理院のジオイド・モデルから内挿して与えるもので、現地で測るものではありません。「現地でジオイド高を測定する」という記述が出てきたら誤りです。

計算問題では、既知点で N = 楕円体高 − 標高 を出し、ジオイドの傾斜量と距離から新点の N を求め、そのうえで 標高 = 楕円体高 − N に戻す、という 3 段階になります。手順を飛ばさないことが正答の条件です。

ITRF と地心直交座標系

ITRF(国際地球基準座標系)は地球の重心を原点とする三次元直交座標系で、各軸は次のように定義されます。

  • X 軸 経度 0°(本初子午線)と赤道の交点方向が正
  • Y 軸 東経 90° と赤道の交点方向が正
  • Z 軸 自転軸の北方向が正

「Y 軸は西経 90°方向」という選択肢が定番のひっかけです。右手系なので、X 軸と Z 軸が決まれば Y 軸は東経 90° 側に自動的に決まります。

符号を問われたときは、緯度 φ・経度 λ から次のように考えると確実です。

X ∝ cos φ・cos λ  Y ∝ cos φ・sin λ  Z ∝ sin φ

日本は東経 120〜150° 付近なので cos λ < 0 より X は負、sin λ > 0 より Y は正、北半球なので Z は正。2 地点間のベクトルの符号を聞かれた場合も、この式に緯度経度を入れて引き算すれば機械的に判定できます。

測地成果は ITRF と連動しない

ITRF は数年おきに更新されますが、日本の測地成果が自動で追随することはありません。成果を変えれば地図・登記・各種台帳に影響が及ぶため、法定の手続きを経て改定されます。「ITRF が更新されると連動して更新される」は誤りです。この論点は複数年にわたって繰り返し出題されています。

平面直角座標系

日本の平面直角座標系(平成 14 年国土交通省告示第 9 号)では、X 軸が子午線方向(南北)、Y 軸が東西です。数学の xy 平面と逆なので混乱しやすい箇所です。

原点より南かつ西の地点なら、X 座標も Y 座標もともに負になります。「ともに正」とする選択肢は誤りです。方向角から座標の増分を出すときも、ΔX = S・cos T、ΔY = S・sin T(方向角 T は北を 0° として時計回り)と、sin と cos が入れ替わって見える点に注意してください。

回転行列

座標変換の計算問題では、どの軸まわりの回転かを見分ける必要があります。判別は簡単で、回転軸の成分は変化しないので、その軸に対応する位置に 1 が入ります。

  • x 軸まわり → 行列の左上が 1
  • y 軸まわり → 真ん中が 1
  • z 軸まわり → 右下が 1

残りは cos が対角、sin が非対角に入り、sin に付くマイナスの位置で回転の向きが決まります。選択肢は 1 の位置か sin の符号のどちらかを変えてくるので、この 2 点だけ確認すれば絞り込めます。

この分野の過去問 14問

  1. 令和8 第2問 次の a ~ e の文は,国際地球基準座標系(以下「ITRF」という。)と我が国の位置の基準について述べたものである。明らかに間違っているものだ…
  2. 令和8 第5問 二次元の座標系において,ある点(x, y)について原点を中心として反時計回りに角度 θ だけ回転させたときの点(x′, y′)は式 5 で表され…
  3. 令和8 第6問 次の 1 ~ 5 の文は,測量法(昭和 24 年法律第 188 号)における測量の基準について述べたものである。明らかに間違っているものはどれか…
  4. 令和7 第2問 次の a ~ e の文は,国際地球基準座標系 (以下「ITRF」という。)について述べたもので ある。 明らかに間違っているものだけの組合せはど…
  5. 令和7 第6問 次の 1 ~ 5 の文は,測量法 (昭和 24 年 法律第 188 号) における測量の基準について述べた ものである。明らかに間違っているもの…
  6. 令和6 第2問 次の 1~5の文は, 国際地球基準座標系(以下「ITRF」という。)について述べたものである。 明らかに間違っているものはどれか。 次の 1~5…
  7. 令和6 第4問 図 4 に示すような三次元直交座標系において,ある点(x,y,z)を z 軸のまわりに図 4 に示す 方向にある角度回転させたとき k,式 4 …
  8. 令和6 第6問 次の 1~5 の文は,測量法(昭和 24 年法律第 188 号)における測量の基準について述べたものであ る。 明らかに間違っているものはどれか…
  9. 令和5 第2問 次のa~eの文は,国際地球基準座標系(以下「ITRF」という。)について述べたものである。明らかに間違っているものだけを全て含む組合せはどれか。…
  10. 令和5 第4問 図4に示すような三次元直交座標系において、ある点(x,y,z)をz軸のまわりに図4に示す方向にθzだけ回転させたときの点(x',y',z')は式…
  11. 令和5 第6問 次のa~dの文は,測量の基準について述べたものである。明らかに間違っているものだけを全て含む組合せはどれか。次の中から選べ。…
  12. 令和4 第2問 点Pは、楕円体面上の点AからBまでの最短経路(測地線)をt=0からt=100秒にかけて等速で移動する。表2に示す座標から、時刻tと地心直交座標(…
  13. 令和4 第4問 三次元直交座標系において、ある点(x, y, z)をz軸のまわりにεzだけ回転させたときの変換式4を参考に、x軸まわりにεxだけ回転させたときの…
  14. 令和4 第6問 次のa~eの文は,我が国における測量の基準について述べたものである。明らかに間違っているものだけの組合せはどれか。…