1 級水準測量の観測
等級ごとに規定が異なるので、1 級と 2 級の違いで覚えると整理しやすくなります。
| 項目 | 1 級 | 2 級 |
|---|---|---|
| 最大視準距離 | 50 m | 60 m |
| 読定単位 | 0.1 mm | 1 mm |
| 読む順序 | 後視 → 前視 → 前視 → 後視 | 後視 → 後視 → 前視 → 前視 |
1 級の読み順が時間対称になっているのは、観測中に三脚が徐々に沈下しても、その影響が前後で打ち消し合うようにするためです。理由ごと覚えると忘れません。
また 1 級では標尺の下方 20 cm 以下を読定しません。地面に近いほど大気の屈折(気差)が大きく、視線が湾曲して読み取り誤差を生むためです。
誤差とその消去法
誤差の名前と消去法の組合せを入れ替えた選択肢が頻出です。原因ごとに整理してください。
| 誤差 | 原因 | 消去法 |
|---|---|---|
| 視準線誤差 | 視準線と気泡管軸が平行でない | 前視と後視の距離を等しくする |
| 鉛直軸誤差 | 鉛直軸が傾いている | 三脚の特定の 1 本を常に同じ標尺へ向ける |
| 零点誤差 | 標尺の零目盛が正しくない | 標尺を 2 本 1 組とし、レベルの据付け回数を偶数にする |
| 球差(地球曲率) | 地球が丸いこと | 前視・後視の中央にレベルを据える |
| 気差(大気の屈折) | 地表付近の大気の屈折 | 標尺の下方を読まない |
標尺を鉛直に立てられない場合は、標尺を前後にゆっくり動かして読定値が最小となる位置を読みます(ウェービング)。鉛直のときに最小になる原理を使うので、「最大となるところを読む」は誤りです。
標尺補正と最確値
標尺は温度で伸縮するため、観測高低差に補正をかけます。
(C₀:標尺改正数、T:観測温度、T₀:基準温度、α:膨張係数)
ここでよく出るのが、観測温度が基準温度と同じなら温度の項が 0 になるケースです。また、標尺改正数と温度項が打ち消し合って係数全体が 0 になる場合もあり、そのときは補正量がゼロになります。機械的に計算せず、係数の値を先に確認する癖をつけてください。
重量平均
複数の既知点から新点の標高を求めたときは、観測距離の逆数を重みとして平均します。距離が短い経路ほど信頼できる、という考え方です。
環閉合差から再測路線を特定する
この分野で最も出題頻度が高い計算問題です。考え方の芯はこうです。
ある 1 本の路線に誤差があれば、その路線を通る環はすべて閉合差が悪化し、通らない環は正常なままです。したがって「超過した環すべてに共通し、正常な環には含まれない路線」が原因と特定できます。
手順
- ① 矢印の向きを確認 環を一周するとき、矢印と逆向きに進む路線は符号を反転して足す。
- ② 環ごとに閉合差を計算 一周の高低差の和が閉合差。
- ③ 許容範囲と比較 許容値は 5 mm・√S(S は環一周の観測距離 km)。
- ④ 超過した環の共通路線を探す 正常な環にその路線が含まれていないことも確認すれば検算になる。
GNSS 水準測量
GNSS で標高を求める測量です。出発点は次の関係式です。
GNSS が求めるのは楕円体高なので、国土地理院のジオイド・モデルからジオイド高を得て差し引きます。高さ方向の精度がそのまま成果の精度になるため、各所で厳しい条件が課されています。
- 観測はスタティック法のみ。ネットワーク型 RTK 法は観測時間が短く、高さの精度を確保できないため使えません。
- PCV 補正は必須。標高を求める測量だからこそ、高さ方向に効く PCV を省略できません。
- 既知点は標高が水準測量で決められた点に限られます。電子基準点なら「標高区分:水準測量による」もののみ。
- 設置できるのは3 級水準点。適用範囲は既知点からの距離 6〜40 km。
- 寒冷前線・温暖前線の通過時は、水蒸気分布が急変して対流圏遅延の差が誤差になるため、原則として観測しません。