次のa~eの文は,国際地球基準座標系(以下「ITRF」という。)について述べたものである。明らかに間違っているものだけを全て含む組合せはどれか。次の中から選べ。

ITRF(国際地球基準座標系)の構造と、日本の測地成果との関係を問う正誤判定。
ITRF は地球の重心を原点とする三次元直交座標系で、各軸は次のように定められている。
この定義を押さえたうえで、地点の座標は緯度 φ・経度 λ を用いて X ∝ cos φ・cos λ、Y ∝ cos φ・sin λ、Z ∝ sin φ と表せる、と理解しておくと符号の判断が確実になる。
ITRF では地球上の位置を、地球の重心を原点とする三次元直交座標 (X, Y, Z) で表現する。緯度・経度・高さで表す測地座標とは別の表し方で、両者は相互に変換できる。記述のとおり。
ITRF は地殻変動の観測結果を取り込みながら数年おきに更新されているが、日本の測地成果がそれに自動で連動することはない。
測地成果は測量の基準として法令に位置づけられており、変えるには所定の手続きを踏む必要がある。全国の基準点成果を一斉に書き換えれば、地図・登記・各種台帳のすべてに影響が及ぶためである。実際、測地成果2011(JGD2011)は ITRF2008 を基準として固定されたものであり、その後 ITRF が更新されても直ちに追随してはいない。したがって「連動して更新される」とするこの記述は誤り。
X 軸は回転楕円体の中心と、経度 0° の子午線・赤道の交点を通る直線であり、その交点に向かう向きが正である。冒頭の定義どおりで正しい。
Y 軸は回転楕円体の中心と、東経 90° の子午線・赤道の交点を通る直線で、その交点に向かう向きが正。X 軸と Z 軸を決めれば、右手系であることから Y 軸の向きは自動的に東経 90° 側に決まる。記述のとおり。
前半の「日本列島では X<0、Y>0、Z>0」は正しい。日本は東経 120〜150° 付近にあるので cos λ<0 より X<0、sin λ>0 より Y>0、北半球なので Z>0 となる。
誤っているのは後半のベクトルの符号である。札幌市役所(およそ北緯 43°、東経 141°)から那覇市役所(およそ北緯 26°、東経 128°)へ向かうベクトルを、上の関係式で確かめる。
ΔX:cos43°・cos141° = 0.731 ×(−0.781) = −0.571 → cos26°・cos128° = 0.897 ×(−0.612) = −0.549 より ΔX > 0(正)
ΔY:cos43°・sin141° = 0.731 × 0.625 = 0.457 → cos26°・sin128° = 0.897 × 0.791 = 0.710 より ΔY > 0(正)
ΔZ:sin43° = 0.683 → sin26° = 0.442 より ΔZ < 0(負)
したがって符号は (正, 正, 負) であり、記述の「(負, 正, 負)」とは ΔX の符号が食い違う。
直感的には、那覇のほうが赤道に近いぶん自転軸から遠く(cos φ が大きく)、かつ経度が本初子午線の真裏(東経 180°)から遠ざかるため、負であった X が 0 に近づく——つまり増加する、と捉えられる。