← 測量士 過去問解説トップ

測量士試験 令和7年 午前 第10問
〔基準点測量〕の解説・解答

📅 2025年5月18日実施 / 📄 公式問題PDF 📋 公式解答PDF
第10問 📍 基準点測量
📋 問題文

次の 1 ~ 5 の文は,公共測量における GNSS 測量機を用いた基準点測量について述べたもの である。 明らかに間違っているものはどれか。 次の 1 ~ 5 の中から選べ。

1. 異なる機種のアンテナを組み合わせた測量では,原則として PCV 補正を行うことが必要であ る。
2. GNSS 衛星及び GNSS 受信機の時計のずれに起因する誤差は,二重位相差による解析処理で消 去することができる。
3. スタティック法は,複数の観測点に GNSS 測量機を整置して,GNSS 衛星からの信号を同時に 受信し,それに基づく基線解析により,観測点間の基線ベクトルを求める観測方法である。
4. スタティック法では,GNSS 衛星の軌道情報に精密暦を用いなければならない。
5. ネットワーク型 RTK 法は,位置情報サービス事業者が算出した補正データ又は面補正パラメ ータを,携帯電話などの通信回線を介して移動局で受信し,移動局側において解析処理を行 い,即時に位置を求める観測方法である。
📄 原典の問題ページ(画像)
元問題
💡 解説

GNSS 測量の 誤差消去の原理軌道情報の使い分け各観測方法の定義 を横断的に問う正誤判定。選択肢はいずれも作業規程の準則および「GNSS測量による基準点測量作業マニュアル」の基本事項からの出題で、1つずつ根拠を確認していく。

1. 正しい。

PCV(Phase Center Variation = アンテナ位相特性)とは、GNSS アンテナの「電気的な位相中心」が、電波の到来方向(仰角・方位角)によってわずかに移動する性質のこと。位相中心はアンテナの物理的な中心とは一致せず、そのずれ方はアンテナの機種ごとに固有の癖を持つ。
同一機種どうしを組み合わせた場合、両端のアンテナに同じ癖が現れるため、基線ベクトル(2点の差)を求める段階で誤差の大部分が相殺される。ところが異機種を混在させると癖が食い違うため相殺されず、とくに高さ方向に系統的な誤差として残ってしまう。このため異機種のアンテナを組み合わせる場合は、原則として PCV 補正を行う必要がある。記述のとおりで正しい。

2. 正しい。

GNSS の相対測位が高精度を実現できる中心的な仕組みが、この位相差の階層的な差分である。
一重位相差(2 台の受信機で同一衛星を観測した差)… 衛星の時計誤差が消去される
二重位相差(一重位相差どうしの差=2 受信機 × 2 衛星)… さらに受信機の時計誤差が消去される
つまり衛星・受信機の両方の時計のずれが二重位相差の段階で取り除かれる。記述のとおりで正しい。なお、二重位相差をさらに時刻方向で差分した三重位相差は、サイクルスリップ(位相の不連続)の検出に用いられる。

3. 正しい。

スタティック法の定義そのままの記述。複数の観測点に GNSS 測量機を同時に整置し、一定時間にわたって同じ衛星群からの信号を受信して、その観測データを基線解析にかけ、観測点間の基線ベクトル(三次元の位置の差)を求める。観測時間を長く確保できるため精度が高く、1〜4 級基準点測量の基本となる観測方法である。

4. 誤り。 ← これが正解

基線解析に用いる衛星の軌道情報は、放送暦(ブロードキャストエフェメリス)を標準とする。放送暦は衛星が航法メッセージとして常時送信している軌道情報で、精度は数 m 程度と決して高くない。しかし相対測位では、基線の両端の受信機に同じ軌道誤差が共通して効くため、差をとる段階でその大部分が相殺される。基線長が短いほどこの相殺は効き、実用上は放送暦で十分な精度が得られる。
一方の精密暦(IGS 等が観測後に提供する数 cm 精度の軌道情報)は、長い基線を扱う場合や、とくに高い精度が求められる場合に用いる選択肢であって、スタティック法なら常に使わなければならない、というものではない。したがって「用いなければならない」と断定するこの記述が誤り。
なお、測量士試験では「必ず」「〜しなければならない」と言い切る選択肢が誤りである頻度が高い。本問はその典型例といえる。

5. 正しい。

ネットワーク型 RTK 法の定義どおりの記述。電子基準点網の観測データをもとに位置情報サービス事業者が算出した補正データ、または面補正パラメータ(FKP)を、携帯電話などの通信回線を通じて移動局が受信する。移動局側で解析処理を行い、その場で即時に位置を求める。従来の RTK 法と違って自前の固定局を設置する必要がない点が大きな利点である。

誤りは 4 のみ。よって 選択肢 4
💡 軌道情報は放送暦が標準、精密暦は長基線・高精度時の任意選択。相対測位では軌道誤差が両端で相殺されるため放送暦で足りる、という理屈まで押さえておくと迷わない。

📚 おすすめ学習グッズ

独学での測量士試験対策に役立つ定番アイテムをまとめました
当サイトはAmazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を得ることができる、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。
▼ 令和7年の全28問一覧へ戻る
測量士試験 過去問解説(無料)/ 本ページは独学者向けの解説です
出典:国土地理院「測量士・測量士補試験の試験問題及び解答例」を加工して掲載(政府標準利用規約準拠)
プライバシーポリシー運営者情報・お問い合わせ