トータルステーション(以下「TS」という。)を用いて,放射法により既知点 A から求点 B までの高低差を求めるものとする。既知点 A から求点 B までの斜距離を D,高低角を θ,高低差を Z とすると高低差 Z は式 15−1 で表される。
式 15−1: Z = f(D, θ) = D sin θ
斜距離 D,高低角 θ それぞれの観測値の標準偏差を σD,σθ とする。また,TS による距離測定と角度測定は互いに影響を与えないものとし,その他の誤差は考えないものとする。
斜距離 D と高低角 θ の観測が互いに独立であることから,両者の共分散は 0 となる。それぞれの観測値の分散を σD2,σθ2 とした場合,高低差 Z の分散 σZ2 は,誤差伝播の法則から式 15−2 で求められる。
式 15−2: σZ2 = (∂f/∂D)2 σD2 + (∂f/∂θ)2 σθ2
ここで,既知点 A から求点 B を観測した測定値は,斜距離の測定距離 100.000 m,高低角 24°00′00″ であった。使用した TS の距離測定の精度(標準偏差)は(5 + 5 × 10−6 D)mm(D は mm 単位の測定距離),角度測定の精度(標準偏差)は 5″ とする。このとき,高低差 Z の標準偏差は幾らか。最も近いものを次の 1 ~ 5 の中から選べ。
ただし,式 15−1 及び式 15−2 の測定距離の単位は mm,角度の単位はラジアンとし,1 ラジアンは(2 × 105)″とする。なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。
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解説
誤差伝播の式は問題文が与えてくれているので、やることは偏微分と単位換算だけ。距離は mm、角度はラジアンに揃えるのが唯一の関門。
f = D sin θ なので、
D = 100.000 m = 100,000 mm。距離の標準偏差は
σD = 5 + 5 × 10−6 × 100,000 = 5 + 0.5 = 5.5 mm
角度の標準偏差は 5″ をラジアンに直して
σθ = 5 / (2 × 105) = 2.5 × 10−5 rad
関数表より sin 24° = 0.40674、cos 24° = 0.91355。
距離の項:(sin θ · σD)² = (0.40674 × 5.5)² = (2.237)² ≒ 5.00 mm²
角度の項:(D cos θ · σθ)² = (100,000 × 0.91355 × 2.5 × 10−5)² = (2.284)² ≒ 5.22 mm²
※ 2 つの項を足し算せず単に加えると 2.24 + 2.28 = 4.5 mm(選択肢 3 に近い)になる。標準偏差は2 乗して足してから平方根、が鉄則。